言葉のガチ勝負はセコンドも大変だぜ
―「正確には昨日観に行ったんですが、映画そのものは置いといてちょいと面白い場面に出くわしましたね」
破「お昼ちょい過ぎからの上映時間だったんだが、少し時間があったのよ。で、ちょうど『余命なんとかの何とか』の入場が始まっててさ、『あー、こういう客層の人が観に行くんだー』って思ったの。制服着てる娘と一緒の夫婦とかさ、あとは喫煙室から慌てて出てきた、いかにもギャル風の二人組みとかね」
―「ガハハハ」
破「同じ『実話』を元にした映画なのにさ、おそらく死ぬまでこっちの映画は観ないんだろうなってね。まあ結果として涙を流すのはあるけど、最初から泣くために映画を観るっていうのはコチトラは無いからね」
―「さて、本題に入りますけど、面白かったですね」
破「お互いがお互いを利用して富と名声を得よう、というか復権を賭けてインタビューという勝負を行うんだが、それぞれにブレーンがいるんだけどそれがもう完全にボクシングのセコンドなんだよな」
―「実際映画の中でもそういう話が出てましたし」
破「とにかく最初に一撃喰らってからは完全なニクソンペースで進んでいく。そこから逆転していく展開。ただ、これは舞台劇の映画化だし、ついでに言えば、現実のインタビュー映像だって観られるわけだ。だから逆転のきっかけが、フロストにある人物がかけてくる電話というフィクションを入れ込んでいるんだけど、この場面には賛否が分かれているらしいね」
―「どうあんですかね」
破「監督はニクソンという男の複雑さを表現したかったらしいからOKじゃねえかな。これも今年のアカデミー賞で各賞にノミネートされたってのはうなずける。しかも過去の大統領の中でも不人気では群を抜くニクソン。そういえば『ウォッチメン』はニクソンが三選されたという架空の1985年が舞台だったな。で不人気振りがいつも比べられる倅ブッシュの退場した今、これを観る意義は確かにあったよ」
―「でもブッシュは謝罪も反省もしませんけどね」
破「反省だけならサルでも出来るっていうじゃない。だからさ、そういうことさ(笑)」


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